「利用者様」への誕生日カード

頭部外傷・右股関節変形性股関節症・右手指末梢神経障害、
様々な怪我や病気で歩行困難だったIさん(利用者様)。
地道なリハビリのおかげで、歩行はもちろん、自転車にも乗れるようになりました。
要介護2から要支援2まで、介護度も下がりました。
しかし奥様とは、コミュニケーションがうまく取れておらず、
一緒に住んでいるが、個々で食事を作り、別々で食事を食べています。
「自転車に乗って図書館に行きたい」という思いも、
家での居場所がないため、どこかに拠り所を探していたに違いありません。
しかし、このままだと「身体の健康維持」だけに必死に心を寄せて、
とことんまで、身体をいじめるくらい身体機能訓練に執着してしまう、
行動しすぎてしまう予感がしました。
ついには、身体に負担がかかり、怪我や関節痛へとつながってしまうと予想されます。
私は、これまでにそんな利用者さんを、山ほど見ています。

樺沢先生の「3つの幸福」には、「心と身体の幸福」が整った後は、
「つながりの幸福」を目指しなさいと書いてありました。
そう、その通り。無理をして身体を壊す前に、次のステップ(つながりの幸福)に橋渡しが出来るといいなと思いました。
しかし、夫婦関係はこじれたままです。
そこで私は、「3つの幸福」のコピーを渡し、懇々(こんこん)と諭すように説明しました。
I さんは、納得してくれたが、なにから手をつけていいかわからない様子でした。
「月1回でも、一緒に食事を取ってみたら」といっても、難しい様子です。

なのでまずは、「日記」を書くことから始めてみては?と日記を勧めました。「日記をつけるようになってその日やることが見つかるようになった。ここ3日ほど、イモ洗いをしている。嫁さんも喜んでくれている」と話してくれました。

日記を書くことによって「アウトプット力」「自己洞察」が高まり、「感情コントロール」が出来るようになると樺沢先生が言っています。日記を書く中から、「夫婦・家族の修復のために、自分に何かできることはないだろうか」と自分で考察して、行動が出来るはずだと考えました。

数週間後、 I さんは日記を書き始めてくれていました。
最初は、「明日の予定」だけでしたが、その後は、自分のペースで継続中です。そして、
①今日一番辛かったこと
②今日一番良かったこと
③あしたの予定
を書いていただいています。
しばらくすると、イモ洗いや、風呂の修繕など、
家族のために「自分の出来ることに出来る範囲で」取り組み始めてくれているようです。

いろいろ話す中で、股関節が悪いから、湯舟には「風呂椅子」を沈めて、
そこに座って座っているので、肩まで疲れていない。床にも降りたことがないことが判明しました。
これは、何回か練習して自信さえつければクリア出来るはずなので、リハ中、数回取り組みました。

明日は、 I さんの誕生日。
ウチの会社では、利用者さんの誕生日に500円程度のプレゼントを贈っています。
「 I さん、誕生日プレゼント何がいい?」と質問すると、
しばらく考えた後、「日記を書くノートが欲しい」と答えてくれました。
私は、非常に嬉しかったです。

少しずつ、奥様との距離が縮まることを祈って、このプレゼントを渡したいと思います。

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新しい日記帳
今、書いている日記帳
新しい日記帳

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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