万葉集 巻19 大伴家持※
うらうらに 照れる春日(はるひ)に 雲雀(ひばり)あがり 心悲しも 独りし思えば
うららかに 照る春の日に ひばりが舞い上がり 心は悲しいことだ 独りで思うと
現代語訳:
春の日はうららかに照り、うぐいすは今しも鳴いている。痛むこの心は歌でないと紛らわしがたい。そこでこの歌を作って、鬱屈した気持ちを散じるのであるー。
輝かしい春の日の中、独り悲しむことを歌うこの歌をもって、巻19(全20巻)は終わる。
このように、万葉の時代(飛鳥時代から奈良時代)に大伴家持(おおとものやかもち)が、歌を作ってストレスを発散していた軌跡が残っています。
たしかに私も、ブログを書くことで、かなりストレス発散が出来ています(笑)。
ストレスは、感じて外に出すことで、ある程度軽くすることができます。強いストレスを感じると、漠然とした不安や怒りがとめどなく押し寄せてきます。そんなとき、それらをすべて思うままに書き出すと、心の中でモヤモヤとしていた不安や怒りを、客観的に見られるようになるのです。
「筆記開示」「エクスプレッシブ・ライティング」とも言われるその方法は、自分自身が悩んでいることに対しても利用できますし、作業療法士としても、患者様の問題点、強み、弱点などをあぶり出す手法としても使うことがあります。
もし、何か悩みごとがあるのなら、「1枚の紙またはノート」に次にあげる「キーワード」を書き出して整理してみましょう。
「現実」「悩み」「迷い」「感情」「強み」「弱点」「過去」「現在」「未来」「進べき道①~⑤」
これらを書き出し、モヤモヤをスッキリさせましょう。
慣れてくると、問題点をいろいろつなげて考え、「本当の問題はここなんだ!」ということが焦点化出来るようになるかもしれません。知識・技術・正しいモノの見方(切り口)に裏打ちされた見識で、客観的に見れるよう、私も修行中です。
そして、整理がついたら「信頼できる人」数人に、考えに到った経緯を含め、相談してみましょう。
最後に「あなたの本心」と「その問題の答え」がその人たちから「やまびこ」として、あなたに返ってくるでしょう。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
※大伴家持は、父大伴旅人(おおとものたびと)、父の部下の山上憶良(やまのうえのおくら)、叔母坂上郎女(さかのうえのいつらめ)らの優れた歌人たちに囲まれ、その薫陶を受け成長。「万葉集」全歌4516首のうち、家持の歌は最多の476首に及んでいます。