【はじめに】
私のまわりでも、「休職」や「不登校」の話をよく耳にします。やはり、現代社会は昔と異なり、「長期にわたるストレス」が続くため、精神的にまいってしまう方が多いように思います。「不登校」「休職」「非行」「犯罪」「パニック障害」「強迫性障害」「対人恐怖」「過食」「アルコール」「不安障害」「リストカット」「薬物依存」なども、悩みが背景にあることが多いようです。なぜストレスから体調が悪くなるかというと、コルチゾールが関係しているのです。

そのストレスが長期にわたると、悪循環に陥ります。

「ストレスを感じる→嫌な気分になる→その気分を嫌う→自己嫌悪・他者嫌悪→さらに嫌な気分になる→抑うつ→体調が悪くなる→よりストレスを感じる」という悪循環に陥らないようにしたいですよね。これから説明する「3つの神経」と「自律神経」は、「車の両輪」のようなものです。片方が調子が悪くなれば、必ずもう一方も調子が悪くなるのです。
この後、詳しくみていきますが、特に「ストレス・不安」が強まると、ノルアドレナリン(怒り・ストレスホルモン)が高まってしまい、反動でセロトニンが弱くなってしまう+コルチゾールにより「交感神経」が興奮して※情動性自律反応が起きる。またそれが新たなストレスとなり、
「ノルアドレナリン↑」→「セロトニン↓」・「交感神経↑」これを繰り返すのです。
※情動性自律反応:自律神経(交感神経)が興奮して、心臓の拍動が増加、血圧の上昇、骨格筋血流の増加、呼吸の促進、血糖上昇など。
「長く続くストレス」や「パワハラなどの強いストレス」で、いつの間にか「負のスパイラル」にはまってしまいます。この悪循環に陥ってしまうと「3つの神経」と「自律神経」の両方が、乱れて抜け出せなくなります。「こころの健康」が損なわれている場合は、直ちにストレスから、離れて休んでください。そして、十分休んでからでいいので、ゆっくりと立ち上がりましょう。
このような心と体の悩みの回路を修復して、もう一度、あなたの人生を取り戻してくれる重要な「3つの神経」があなたにも、そして誰にでも備わっています。
【脳を健やかに保つための3つの神経について】
人の脳には、感情や精神面、記憶や運動機能、睡眠といった、人体の重要な機能に深く影響を与えている3つの神経が備わっています。それは「ノルアドレナリン」「ドーパミン」「セロトニン」の3つです。

①ノルアドレナリン(神経は脳全体に伸びている)は「怒りのホルモン」「ストレスホルモン」です。思考、感情、意欲・衝動を調節しており、ストレスへの対処のための行動をとらせます。「闘争か逃走か」という人間の危機回避のための緊急物質なのです。これがあったからこそ「激しい生存競争の中、人類が生き残れている」と言っても、過言ではありません。例えば、サバンナでライオンと遭遇したとしましょう。緊張状態でノルアドレナリンが分泌されると、脳が研ぎ澄まされ、集中力が高まり、判断力が高まります。「闘争か逃走か」が「一瞬で正しい判断ができるようになる」というのが、ノルアドレナリンの特徴です。
②ドーパミン(神経は主に前頭前野に伸びている)は「快楽ホルモン」です。意欲や性や食などの本能欲に関係しています。 また向上心やモチベーション、記憶や学習能力、運動機能にも関与しています。上手くコントロール出来ると、「成功(お金や地位)を求めて成長する源」になります。しかし、ドーパミンは「もっともっとの物質」なので「安易な快感」を求め続けてしまうと、ゲームやアルコールなどの依存症へ陥ってしまいます。
③セロトニン(神経は脳全体に伸びている)は「脳の指揮者」の役割をしています。冷静な心、精神的な安定・鎮静を司り、脳に調和をもたらします。睡眠・食欲の調節、感情の抑制、気分の抑制、攻撃性の抑制、痛みの抑制などに関わっています。セロトニンが弱ると、ドーパミンが舞い上がり「依存」「躁」になる、またはノルアドレナリンが興奮して「不安」が強まり「うつ」「パニック」になりかねないのです。
【バランスが崩れると…】
「長期のストレスの積み重ね」あるいは「強いストレス」があると悪循環に陥り、自律神経が乱れ、自分ではどうしようもなくなります。3つの神経・自律神経ともに乱れ、不眠や原因不明の体調不良、思考力↓、集中力↓、判断力↓が起こってしまうのです。

【心の問題の解決のヒント】
ストレス過剰になると、ノルアドレナリンが過剰となり、交感神経興奮と不安が強まり、ついには抑うつ状態になります。それに伴い、ドーパミンが弱くなり、意欲や性欲が減退する場合も少なくありません。
また、ドーパミンが興奮しすぎると、快感をどんどん求めてしまうアルコール・ギャンブル・ゲーム依存にはまったりします。躁状態や統合失調症の陽性症状の幻覚・幻聴があらわれます。
仮説ではありますが、前頭葉におけるドーパミン低下は、統合失調症の無為・自閉・感情鈍麻といった陰性症状の原因になっているのではと推測されています。
これらの神経を整えるためには、やはり、脳の指揮者である「セロトニンの活性化」が不可欠です。セロトニンの力で「ノルアドレナリン」「ドーパミン」を手なずけるのです。そして「セロトニン」には自律神経を整える働きがあるとされています。眠ってしまったセロトニンを、今こそ叩き起こして、もう一度、「本当のあなた」を取り戻さないといけません。
それでは、セロトニンを活性化して、脳内物質を整える4つの方法を紹介します。
①セロトニン活性化の一番の方法は、「朝散歩」です。朝散歩(太陽の光とリズム運動)をして、セロトニンON+セロトニン活性化+リズム運動で「脳でリズムを刻むセロトニン」と同調させましょう。
脳が目覚めて、いい調子で音楽(脳のリズム)を刻んでくれるはずです。
②週2時間以上の運動するだけで、「ドーパミン」や「セロトニン」が分泌され「脳内物質」が整います。感情が安定し、イライラ、怒りっぽさが解消されます。気分が明るくなり、モチベーション・意欲があがります。
③睡眠は、質のいい睡眠を7時間以上、取りましょう。夜になると眠気が出て、深い睡眠に入るためには、「リラックス(副交感神経への切り替え)」と「深部体温の低下」そして「メラトニンの分泌」が不可欠です。その「メラトニン(睡眠物質)」をつくるには、セロトニンが必須です。セロトニンを活性化する方法は「朝日を浴びる」「リズム運動」「咀嚼」の3つです。出来る範囲で朝散歩に取り組み、しっかり朝ご飯を食べましょう。それだけで気分は、ずいぶん良くなるはずです。
④「3行日記(ブログ内に説明あり)」を書くことで、自己洞察力が高まり、感情コントロール、セルフマネジメント(心身の健康管理)が出来るようになります。簡単なので続けてみてください。
是非、「睡眠・運動・朝散歩」でセロトニンを活性化させる。そして「3行日記」で、ストレスを上手く受け流す術(すべ)を身につけましょう。
まず脳内環境を整える「朝散歩」から、始めていただけると嬉しいです。
一緒に、できることから取り組んでみませんか。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。「3つの神経」について、より詳しく知りたいという方は、やや専門的になりますが、下記の記事を参考にしてください。
【神経伝達物質とは】
脳内で分泌されている化学物質であり、その種類は100種類近くもあると推定されています。 三大神経伝達物質と呼ばれている「セロトニン」「ドーパミン」「ノルアドレナリン」は、人の感情や精神面、記憶や運動機能、睡眠といった、人体の重要な機能に深く影響を与えています。
【神経繊維】
「セロトニン」「ドーパミン」「ノルアドレナリン」 は、それぞれ脳に神経繊維が張り巡らされています。


【ホルモンと神経伝達物質の違い】
ホルモンは あらゆる細胞 に「血液」を媒介して接触・興奮させるのに対し、神経伝達物質は 直接「神経細胞」 を興奮させる物質です。 脳内で働くホルモン的な働きを持っていることから神経伝達物質は「脳内ホルモン」とも呼ばれます。
【物事への意欲の源、生存本能を司るノルアドレナリン】

「ノルアドレナリン」 は、生きる源(闘争か逃走か、一瞬で覚醒・集中し判断する)となる神経伝達物質です。交感神経を刺激して心身を覚醒させる働きがあります。また、ストレスに反応して怒りや不安・恐怖などの感情を起こします。
ノルアドレナリン神経は、脳幹の青斑核にあって、大脳皮質、大脳辺縁系、前頭前野などに神経線維(軸索)を伸ばして思考、感情、意欲・衝動を調節しています。外部からの感覚や内部のセンサーから生命の危機に陥る可能性のある各種のストレス刺激がノルアドレナリン神経に伝わると興奮して、大脳皮質や大脳辺縁系を興奮させて、覚醒レベルをひきあげます。同時に、ストレスの対処のための行動をとらせます。情動自律反応(心拍↑、血圧↑、骨格筋血流量↑、呼吸数↑)もノルアドレナリンが関わっています。
主にストレスに反応して分泌される物質で、「ストレス」に対して怒りや恐怖、不安などの感情の反応を示します。これは主に、例えば人が獣に襲われたときに、怒りで身体を奮い起こして反撃するのか、恐怖によって逃げるのかと言った、生存のための適切な行動の選択、またはそうした状況に陥らないために、常に不安を抱くことで、注意力や集中力を高めることを促す原始的な本能によるものです。
ストレスに反応して怒りや不安・恐怖などの感情を起こすため、「怒りのホルモン」や「ストレスホルモン」などの異名を持ちます。また、交感神経を刺激して心身を覚醒させる働きがあります。
【快楽を司り報酬系と言われるドーパミン】

「ドーパミン」は向上心やモチベーション、記憶や学習能力、運動機能に関与しています。(ノルアドレナリンの前駆体)
ドーパミン神経は、中脳の腹側枝蓋野にあって、辺縁系や前頭前野に軸索を伸ばしています。前頭前野は意欲や性や食などの本能欲に関係しています。ドーパミン神経の活動が興奮しすぎると、幻覚、幻聴などがあらわれます。
【精神を安定させる役割を担うセロトニン】

「セロトニン」は、ノルアドレナリンやドーパミンの分泌をコントロールして暴走を抑えます。咀嚼や呼吸、歩行といった反復する運動機能にも関与しています。「セロトニン神経」は「共感脳」と呼ばれ、共感や社会性 も司っています。
セロトニン神経とは、脳幹の縫線核にあります。セロトニン神経は、脳全体に軸索を伸ばして、睡眠の調節、食欲の調節、不安やゆううつなど感情・気分の抑制などにかかわっています。また、前頭前野の攻撃性、衝動性、自己破壊性などの攻撃性を抑制します。痛みの抑制もします。
ドーパミン神経を抑制して、舞い上がらず、ノルアドレナリン神経を抑制して不安・ゆううつにさせず、冷静な心を演出します。
セロトニン神経は、目覚めているときだけ、規則的にセロトニン発射(神経伝達物質がリズムよく発射される)をして、「感情」「思考」「衝動」「痛み」などを抑制しています。睡眠しているときにはほとんど活動せず、朝、目が覚めると、規則的な低頻度の発射をしています。
【3つの神経のバランス】
【うつ病のときの脳内の状態】
ストレスが高くなると、どうしてもノルアドレナリン神経が活性化しすぎてしまうようです。それに 伴いドーパミン神経(意欲)・セロトニン(脳のリズム取り、脳の鎮静作用)は弱ってくるのです。繰り返しになりますが、まずは「朝散歩」でセロトニンを活性化することからはじめてみませんか?

「セロトニン」「ドーパミン」「ノルアドレナリン」は単体でもそれぞれ心身に重要な影響を与える働きをしています。そして、何より重要なのは、これらの物質は、それぞれ相互に影響を与え合う関係にあることです。セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンがバランスよく分泌されることで、心身のバランスも保たれるのです。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます。