「自律神経」を整えるための朝散歩

「自律神経が乱れている」でも、自分で治そうとしてもどうしても治らない。病院(精神科)の先生に相談しても、解決しない。私もあなたと同じように、薬(漢方・高麗人参)、カウンセリング、座禅、認知行動療法など、解決に向けていろいろ取り組んできましたが、すっきりとは治りませんでした。けれど、これからお伝えする作業療法によって、きっとあなたの「辛い症状」は劇的に消えるはずです。全部、もとの状態には戻らないかもしれません。でも普通の日常生活を続けられる可能性はきっとあるのです。

では、自律神経を整えるために一番やっていただきたいことをお伝えいたします。
それは、「朝散歩」です。

朝散歩とは、起床から1時間以内に最低5分、できれば15~30分、早足でリズムよく散歩をすることです。
朝散歩には、
①セロトニンの活性化
②体内時計のリセット
③ビタミンDの活性化
という3つの効果があります。

まず、太陽の光を浴びること。日光が網膜を刺激して、直接セロトニンを活性化させます。
セロトニンは、覚醒、気分、意欲、感情などを司る脳内物質です。朝、外に出て「爽やか」「気持ちいい」と健康であることの幸福を感じるなら、それはセロトニンが分泌されているからです。
朝起きて、どんよりとした気分、起きたくない、もっと寝ていたい、気分が最悪、仕事に行きたくないという人は、セロトニンの分泌が低下しています。
脳疲労やうつ病の状態では、セロトニンが低下します。

セロトニン神経

セロトニンは、脳の指揮者ともいわれ、セロトニンが整うと、ドーパミンやノルアドレナリンなどの他の脳内物質も整い、感情がコントロールされます。
「イライラしやすい」「キレやすい」「怒りやすい」という人は、セロトニンが下がっているので、積極的に朝散歩を行うべきです。
また、セロトニンは食欲をコントロールするので、「食欲がありすぎる人」「ダイエットしたい人」にもお勧めです。
夕方になるとセロトニンを原料に睡眠物質メラトニンがつくられ、深い睡眠が可能となります。
眠気は眠気は、太陽の光を浴びて、体内時計がリセットされてから15~16時間後に出ます。
セロトニンが整うと、メンタルも身体も全てが整うので、このようなセロトニンの分泌を促す朝散歩は、最強の健康法です。

※ノルアドレナリン神経(脳幹青斑核)、ドーパミン(中脳腹側被蓋野)については、マインドフルネスの記事で触れます。

【朝日を浴びると脳で何が起こるのか】
日が昇り太陽からの光刺激が網膜から入ると、その刺激が中脳から脳幹にある「縫線核」という部分に伝わり、セロトニンの合成がスタートします。繰り返しますが、セロトニン神経は、「脳幹の縫線核」にあって、大脳皮質、大脳辺縁系前頭前野などに神経繊維(軸索)を伸ばして睡眠の調節、食欲の調節、不安やゆううつなど感情・気分の抑制などにかかわっています。また、前頭前野の攻撃性、衝動性、自己破壊性などの攻撃性を抑制します。痛みの抑制もします。ドーパミン神経(※1)を抑制して、舞い上がらないように欲望を抑えてくれます。またノルアドレナリン神経(※2)を抑制して不安・ゆううつにさせず、冷静な心を演出します。

補足
※1:ドーパミン神経(意欲や性、食などの本能欲)
※2:ノルアドレナリン神経(激しい感情や強い肉体作業などで人体がストレスを感じたときに、交感神経の情報伝達物質として放出されたり、副腎髄質からホルモンとして放出される物質です。大脳皮質や大脳辺縁系を興奮させて、覚醒レベルをひきあげます。同時に、ストレスへの対処のための行動をとらせます。情動性自律反応(※3)もそれです。)
※3:自律性情動反応(一時的で急激な感情が起こった際に身体に現れる反応、このときに自律神経の興奮によって脈拍数の増加や血圧上昇、血糖上昇などが起こります。具体例として、イライラやヒステリー、胸がキュンっと締め付けられるような感覚のこと)

【骨粗しょう症の予防】

骨粗しょう症の予防は、①食事②運動③日光浴です。丈夫な骨をつくるためには、「Ca(カルシウム)」と「ビタミンD」が必要です。ビタミンDは、腸管からのとCaの吸収を助け、骨を丈夫にするビタミンです。皮膚に日光(紫外線)が当たると、ビタミンDが生成されます。朝散歩を15~30分行うことで「運動」と「日光浴」のダブル効果を得られます。

【明るさの目安】
2,500ルクス以上の光を5分以上浴びると、セロトニンは活性化されるといいます。日の出後の照度がちょうど2,500ルクス。晴天(窓際1メートル)も2,500ルクスです。雨の日でも、屋外であれば十分な照度(15,000)があります。コンビニ店内は1,300ルクス。目から光が入ることに意味があるので、サングラス・ブルーライトカット眼鏡は、NGです。

【まず5分の朝散歩でOK】
朝散歩のポイントは、太陽の光を浴びることです。
太陽の光を浴びるだけで、セロトニンが活性し体内時計がリセットされます。週に1~2回からスタートして、週に3、4回、1回15~30分の朝散歩ができると、自立神経が整ってくるでしょう。背筋を伸ばしまっすぐ前を向いて、テンポよく歩く(リズム運動)ことで、より多くのセロトニンが活性化されるのです。

【日向ぼっこでもOK】
高齢者やメンタル疾患の方は、「1回5分の朝散歩」もできないという人も多いことでしょう。
その場合は、5分間の日向ぼっこでもOKです。
太陽の光を浴びるだけでセロトニンは活性化し、体内時計はリセットされます。
ベランダや縁側に立つあるいは座るだけでも、かなりの効果が得られるのです。
外に出られない場合は、太陽の光を、網膜から取り込んだ!という気持ちで、窓辺で過ごしてください。

【まとめ】
朝起きた直後というのは、脳内のセロトニン濃度が「ゼロ」に近い状態なのです。網膜から光刺激が入ってくると、縫線核でのセロトニン合成がスタートします。
朝日入る窓辺で、5分間目を開けていると、必ずセロトニンのスイッチがONになり、「つらい気分」「嫌な気分」が「さわやかな気分」「はつらつとした気分」に置き換わってくるのです。

【おわりに】
病気になる前の「元あった完璧な自分」を追いかけるのはやめましょう。
焦らず、ゆっくり取り組んでいけば、きっといいことが起こるはずです。
まわりに感謝しながら、一緒に朝散歩を継続していきましょう。

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