「病気を治す感情コントロール術」読書感想、最優秀賞受賞作「感謝に至る処方箋」

「感謝に至る処方箋」

【はじめに】

「病気を治す感情コントロール術」を手に取った。この本には、病気(過去の自分)を乗り越えるための3つのステップ[否認→取引・受容→感謝 ]それぞれの解説と処方箋、そして家族の処方箋が書かれている。私はページをめくりながら、自分の歩んできた軌跡を見つめ直した。そして、少々重い話になるが、体験を語ってみようと決めた。

【否認】

振り返ってみると、うつ急性期の時は生きているだけで精いっぱいだった。常に死ぬことばかりを考えていたのだから、仕事でも家庭でも普通にふるまえるはずがなかった。混乱し、誰にも会いたくなかった。家族そして新たな命(赤ちゃん)に対する関心も喜びも沸いてこなかった。

妻の妊娠・出産で大きなストレスを感じ、職場ではコロナ禍のコミュニケーション制限と同僚の退職が重なり、仕事量とストレスがどんどん増えた。気付いたら音楽も趣味も楽しめなくなっていた。寝つけない、眠りが浅い、生きているのがつらいと思った時にはもう手遅れ。坂道を転がるように、どんどん調子が悪くなっていくのを止められない。何もしたくないし、動けない。思考は硬直化したようになり、「死にたい」「殺してくれ」と叫ぶのが日常となっていた。急性期は、どんなに工夫しても副交感神経のスイッチが入らない。毎日眠れないし、頭が働かないので不安は増すばかり。むろん睡眠導入剤、睡眠薬、抗不安薬は増える一方。動きたくても動けないので、出勤前や休日はずっと布団の上で休憩。便秘、肥満で一向に上向きにならない。ついには休職そして入院。「もう何をやっても治りません」「二度と副交感神経は働きません」「もう一生、まともに行動出来る日は来ません」というゼロヒャク思考、緊急事態に陥っていた。二度と治らないという不安に押しつぶされ、この真っ暗闇はあけないと本気で信じこんでいた。

ネット上で毎日うつ検査をしては絶望したが「何とかして良くなりたい」と暗中模索した。うつに関する本には「良くなったり悪くなったりを繰り返してだんだん良くなります」「正しい認知で物事をとらえましょう」と書いてあった。いろいろ取り組んだが、治らない。医者と薬に不信感を抱くようになり、あきらめそうにもなった。根本的な治療法などこの世には存在しないのかと途方に暮れた。

【取引・受容】

実母は困り、4人の子育てはあなたには無理、治らないのは医者のせい、薬のせいと疑い、私の心も揺れた。しかし妻や子供たちはただ見守って、待っていてくれた。主治医は、これまでの全ての経過を見守っていてくれたし、家から通いやすい病院だったので、私は妻と主治医を信じるしかなかった。Youtube樺チャンネルで、「睡眠・運動・朝散歩」を見たのは、そんな頃だった。

しばらく経った後、意外な形で底を打って快方に向かう時が来た。退職勧告のため、出社し会社役員と面談することになったのだ。ついに追い込まれて「取引(しょうがない〇〇しよう)」の状態に入った私は、ようやく重い腰をあげて朝散歩を試みた。切羽詰まって、ようやく病気を背負って生きのびる覚悟ができたようだ。それ以降、樺沢本を読み漁り、書いてあることを実行すると、次第に元気になっていった。そして、運よくパートとして別の会社に再就職できた。

【私の、感謝に至る処方箋】

①再就職した会社では、毎日お昼時になると、社長が準備した昼食を囲んで、スタッフ全員が一緒に食べることになっている。自然とポジティブなコミュニケーションが生まれ、なんとも心地よいオキシトシンの分泌。こんな職場にたどり着いた私は、再び社会の一員として再出発しようとしている。時間をかけて、一歩ずつ前進。

②毎日、家族に簡単な手料理をふるまうようにしてから、家族との距離が一気に縮まった。上の子たちと一緒に、夏休みの宿題にも楽しく取り組んだ。末っ子にも愛情が沸くようになり、子供たちと普通に話せるようになった。妻とはたまにケンカもするが、何でも相談できている。

③うつ病の再発からもうすぐ1年が経とうとしている。ポストうつになった私は、昔のような無理はしないと決めている。樺沢氏のいう通り、「常に充電50%の自分」を自覚。無理せず平常心を保ち、「睡眠・運動(家庭菜園)・朝散歩」「日記・SNS投稿・アウトプット型の読書で自己表現・自己成長」に取り組んでいる。薬は7種類から2種類に、量も5分の1にまで減った。

④人間関係で振り回されそうになった時は、ひとまず避難。困っていることを紙に書き出し整理。それを周りに相談することでガス抜きができている。

⑤「自分の経験を他者に伝えて、病気から回復するきっかけや参考にしてもらえるんじゃないか」という熱い思いがこみ上げてくる。それを小さな形で始めている。私はリハビリテーションに携わる仕事をしているので、毎晩樺チャンネルを見て、脳にインプット。それを仕事で利用者様に向けてアウトプットしている。心身の健康や病気の乗り越え方についてアドバイスを送り、利用者様が「不安」から「安心」へ移れるよう寄り添っている。自分の経験を踏まえて心を込めて話ができるし、細かなところまで、力のある言葉が発せられていると思う。こんなふうに、自分のためにもなる他者貢献ができる日・笑顔と感謝で楽しめる日が来るとは、思いもしなかった。

【おわりに】

本の感想を書きながら「病気の軌跡」をしっかりと振り返ることができた。そう、元通りじゃないけど悪い時に比べたら、かなり治っていっているんだ!と実感。こんなにも内省ができ、感謝に至ることが出来る「病気を治す感情コントロール術」、何度もしっかり読み込むと実に奥が深いのだ。

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