「うつ病」について知っていただきたい知識

【はじめに】

お疲れ様です。speckleです。

コロナ禍で、「人と会う機会が減り、コミュニケーションが減った」「様々な場面で気を遣う」「飲み会や旅行で気分転換が出来ない」「テレワークで、仕事と家庭の区別がはっきりしない」など、以前にも増してストレスが増え、「脳疲労」そして「うつ病」に至る人が増えています。「うつ病」の患者数は増加の一途をたどっており、2017年の厚生労働省の調査では、気分障害の患者数は127.6万人と報告されています。「うつ病」は、誰にとっても身近な病気と考えてもいいでしょう。

「いったい、どうやったら”うつ”から抜けだせるのだろう」
「今までの自分とは違う、どうやったら、元の自分に戻れるのだろう…」
途方に暮れ、迷い込んだように、歩いても歩いても、ちっとも光が見えてこない。

私を含め、そのような経験をされた方は、ほかにもたくさんいらっしゃいます。

でも、もう一人で抱え込んだり、あせらなくても大丈夫です。出口を見つけることはできます。少しずつ、元の自分を取り戻していきましょう。

【うつ病について知る】

「うつ病」とは、単に気分が落ち込んだり、やる気がでないというようなことではありません。

普通だったら、少々落ち込む(感情の変化)ことがあっても、一晩寝れば「私は、ダメなところもあるけれど、いいところもあるんだから、頑張ろう!」と気持ちを切り替えられますが、「うつ病」になると、気持ちがちっとも晴れず、長くふさぎ込んでしまいます。

誰しも「失敗」「喪失」「人間関係」「長期にわたる不安」「度重なる叱責」「環境の変化」など、思うようにならないことで悩み、ストレスを感じて生活してます。加えて、近年では「スマホ(SNS)」の情報に嫉妬したり、振りまわされたり、要らぬ気を使ったりすることも、不安やストレスの原因と考えられます。

つらいことが大きかったり、長く続くと「こころ」にダメージを受け「うつ病」になってしまいます。自分では原因がわからなくても、苦しい状態が長く(2週間以上)続くのです。苦しい状態では、「気分が落ち込み憂鬱になる」「いつもなら楽しいことが、気がすすまない、やる気が出ない」などの「こころの症状」のほか「眠れない」「疲れやすい」「身体がだるい」といった「身体の症状」が現れることもあります。

そして「うつ病」になってしまうと「気分が落ち込んだ原因」が解決しても気分が回復しないのです。そのため、仕事や学校に行けなかったり、体を動かすことができなかったりして、社会生活に大きな支障が生じます。

うつ病は「気持ちの問題」ではないため、気力で解決できるものではありません。治療が必要な病気なのです。気分が落ち込み「いつもと違う自分」を感じたら、2週間我慢…と待たずに、早急に医療機関を受診してください。

【うつ病の治療の基本】

うつ病の症状は多彩であり、心だけではなく体の症状があらわれる場合があります。治療では、それらの症状を取り除き、病気になる前の生活に戻っていくことを目指していきます。

うつ病の治療には、「休養」「精神療法」「生活療法」「薬物療法」などがあります。休むことは悪いことではありませんし、「何かやらなければ」とあせることもありません。休養をとることは、うつ病から回復するために非常に重要です。

また、うつ病は再発する可能性が非常に高い病気です。まずは、休みながら、あせらずに症状を取り除きましょう。「病気」そして「自分」をよく知りながら、病気を受け入れ、病気と付き合っていく気構えをもつことが大切だと考えます。詳しい治療や過程については、今後このブログで、お伝えしていきます。

【うつ病の症状】

うつ病の症状は目に見えないからよくわかりません。以下は、うつ病の主な症状です。

①いつもより早く目が覚めるし、寝ようとしてもなかなか寝付けない…

②いつもなら楽しいことが、気がすすまない、やる気が出ない…

③気分が重苦しい。泣きたくなる…

④ちょっとしたことが不安で、どきどきする。いてもたってもいられなくなる…

⑤着替え、歯磨き、入浴なそも身の回りこと、家事、趣味が、おっくうに感じられてできない…

⑥人の話をきいても、本を読んでも内容が頭に入ってこない…

⑦ものごとを悪い方向に考えてしまう…

⑧食事がおいしくないし、つまらない。「食べなきゃ」と思うけれど進まない…

⑨身体がだるいし、疲れやすい。体の疲れがとれない…

⑩体のあちこちが重く感じる。「ずーん」とする…
頭痛・頭重感、首痛、肩痛、背痛、腰痛、関節痛、胸痛、腹痛、手足の痛み…

⑪自分のことなんかどうでもいい。消えてなくなりたい…。死にたくなったことがある…

⑫なんとなく、体の不調はほかにもあって…
動悸、耳鳴り、体重増減、性欲低下、息苦しさ、口が渇く、めまい…

このように、人によって様々な症状があらわれます。心や体の症状は、できるかぎり医師に伝えましょう。受診する前に、「困っていること」のメモを取って医師に伝えると、「伝え忘れ」を防げます。具体的な「症状」を伝えることによって、正しい診断・アドバイスをしてもらえるのです。

【うつ病の原因】

うつ病は、「脳の働き」に何らかの問題が起きて発症すると考えられています。脳の中では、情報を伝達するためにさまざまな神経伝達物質が働いています。そのうち「セロトニン」「ノルアドレナリン」「ドーパミン」は「モノアミン」と総称されています。

一説に、この「モノアミンの減少」によって「うつ病」が引き起こされると考えられているので、これから、わかりやすく説明させていただきます。

元気で正常な時、脳の中では「セロトニン」に「重心」があり、セロトニンが、脳全体の指揮をとり、ドーパミン・ノルアドレナリンを調節しながら、脳機能を運営していると考えてください。(セロトニン仮説)

セロトニンが「感情のコントロール」をしている

私の考えでは、「うつ病」になってしまうと、セロトニンにあった重心(指揮権)が、ノルアドレナリンへと移ると考えています。ノルアドレナリンが脳の指揮権をもってしまうと、正常な脳機能の運営が出来なくなります。次の図を見てみましょう。

うつ状態の脳の神経

ひとたび「ノルアドレナリン」のアンテナが、立ってしまうと「どうしよう、どうしよう」が始まります。どちらをも選択出来ず、堂々巡りをしてしまい、考えれば考えるほど、不安になり、正常な思考が出来なくなります。

【うつ病の始まり】

「つらいなという思考」が、「怒り、ゆううつ、不安、嫌悪などの感情」に変わり、それが「苦しい、悩むという気分」に変わります。

具体的にいうと、「ストレス性の感情(つらいな)」は「扁桃体」に作用し、それに伴うストレス刺激(苦しい)が「ノルアドレナリン神経」を興奮させます。それによって、大脳皮質や大脳辺縁系が興奮し、覚醒レベルが引き上がり、戦闘モードになります。つまり「自律神経」が乱れるのです。

図4 扁桃帯が興奮すると、交感神経優位になる
感情(つらいな)→気分(苦しい)の悪循環に陥る

【ノルアドレナリンの緊張亢進が続くと、うつ病になる】

常に「闘争か逃走か」という「戦闘モードの局面(ストレス)」に立たされていると、脳の中では、ノルアドレナリンンの緊張が高まり「闘争か逃走」以外(セロトニン・ドーパミン)のことをすべて放棄してしまいます。

睡眠→後回しにしよう(入眠困難・早朝覚醒・不眠)
記憶→後回しにしよう(海馬※の機能低下)
消化→後回しにしよう(便秘)
繁殖行為→後回しにしよう(ED・勃起不全)

※扁桃体(アクセル)と海馬(ブレーキ)は常にバランスを保ちながら、綱引きをしている。

【脳が「うつ病」になる行為を選択する】

「強いストレス」「長期にわたるストレス」が続くような環境では、その環境に適応しようとして、大脳皮質や前頭葉(認知に関わる場所)は機能が低下するのです。それに代わって扁桃体のような「情動にかかわる部位」のはたらきが強まります。つまり、「うつ病」とは、このままストレスを受け続けていると「命が危険ですよ」という警告、脳の緊急アラート(扁桃体・ノルアドレナリン神経による警告)が発動し、命を守ろうとする働きなのです。

ただし、これだけで「うつ病」が発症するしくみをすべて説明できるわけではなく、ほかにもいくつかの説があります。

【おわりに】

うつ病の「具体的な治療」と「過程」については、引き続きこのブログで更新していきます。

では、お気をつけて。

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