題名:「パワハラ」で身体を壊すまで働くな!

2010年に自殺したトヨタ自動車の男性社員=当時(40)の妻(50)が、労災を認めなかった豊田労働基準監督署の処分取り消しを国に求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は2021年9月16日、上司によるパワーハラスメントや、業務とうつ病発症の因果関係を認定、請求を棄却した一審判決取り消し、労災を認めた。
裁判長は、男性が業務進捗の報告などをするたびに上司2人から大声で叱責されたことを、「社会通念に照らし、許容される範囲を超える精神的攻撃」と判断し、同様の行為が続き心理的負担は強かったとしてパワハラを認めた。
また、男性の業務が客観的にみて「精神障害を発病させる程度に強度のある心理的負荷を受けていた」と認定、「発病との間に因果関係があると認めるのが相当だ」と指摘した。
厚生労働省は20年6月、精神障害による労災認定基準の項目にパワハラを加え、今回の高裁判決はこの基準に基づき判断した。
同社は判決を受け「会社として手を差し伸べることができなかったことは反省すべきで、風通しの良い職場風土を築くよう努力を続ける」とのコメントを出した。

厚生労働省が毎年発表している「過労死等防止対策白書」(令和元年)によると労働者の58.6%が仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じている。仕事を理由に自殺した人は1949人もいます。
過労死、過労自殺は他人事ではありません。

「体調を壊す寸前」なら迷わず辞めましょう。劣悪な労働環境、長時間労働を長期間続けると、脳卒中やうつ病になって、社会復帰が困難になります。脳卒中は重い後遺症が残りますし、うつ病は、再発率が非常に高い病気です。
「病気になる前に、仕事をやめればいいのに」と思いますが、真面目で一生懸命な人ほど、病気になってはじめて仕事を辞めるのです。いかに優れた才能があっても、健康を損なってしまっては十分な仕事もできず、その才能もいかされないまま終わってしまいます。

パワハラが起こる根っこは、世の中にはいろんな人がいるから…。
いじめはなくならないのと同じ。
「職場の人間関係がよくない」のはスタンダードなのです。